نبذة مختصرة : 新潟大学 ; Niigata University ; 博士(医学) ; 長期経過の潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis : 以下UC) では大腸癌が好発することが知られており,炎症性発癌と呼ばれている.炎症性発癌はdyspla sia と診断される上皮内腫瘍を形態学的初期病変とすると考えられ,炎症性発癌とdysplasia は UC 関連腫瘍とも呼ばれている.生検病理診断でdysplasia との鑑別を要する病変としては,UC に偶発した散発性腺腫と炎症・再生異型上皮がある. dysplasia と散発性腺腫との病理組織学的鑑別については, Ki-67 免疫染色とp53免疫染色の組み合わせが有力な補助手段とされている. しかし,炎症・再生異型上皮とdysplasia,特に細胞異型の弱いlow grade dysplasia との鑑別に有用な補助的マーカーは存在しない. 本研究では, AMACR 免疫染色がdysplasia と炎症・再生異型上皮との鑑別に有用かどうかについて検討した. 外科切除 UC35例に認められたlow grade dysplasia 42病変,同 20 例の炎症・再生粘膜 41 領域, 炎症性腸疾患非併存大腸癌外科切除例の正常大腸粘膜 29 領域を対象とした. Ki-67 免疫染色では,dysplasia, 炎症・再生粘膜,正常粘膜いずれも増殖帯は陰窩深部もしくは中層~ 深部に分布していた. Ki-67 Labelling index は dysplasia が他の群に比べ有意に高かった. p53 蛋白過剰発現は炎症・再生粘膜と正常粘膜には認めなかった. dysplasia では22/42 (52.4%)で蛋白過剰発現が認められた. AMACR 免疫染色では, 免疫染色スコア(mmunoreactivity score :IRS) (染色強度と陽性細胞頻度の積) >4 は正常粘膜にはなく, 炎症・再生粘膜での頻度は3/41 (7.3%), dysplasia での頻度は 22/42 (52.4%)であり,dysplasia は他の2群に比べscore > 4 の頻度が有意に高かった. なお,dysplasia のIRS とp53 蛋白過剰発現の有無の間には相関はなかった. 以上のことから, AMAC R 免疫染色のIR S=5 (実数値では6 )をカットオフ値とすることで, 同染色はp53 蛋白過剰発現の有無に関わらず, UC のdysplasia と炎症・再生異型上皮を病理組織学的に鑑別するための有用な補助的マーカーとなりうることが期待された. ; 新大院博(医)第1160号 ; doctoral thesis
No Comments.