Urban Landscape of Naze, Amami Oshima : Synthesis by Landscape Layers

本論は，田中啓爾の地位層を着想の起点として，景観レイヤーの概念を提示し，都市景観の総観的な把握と理解を試みた。奄美大島の最大都市である名瀬の景観から，シマ・政治・産業・消費・萎縮の5 レイヤーが見いだされた。名瀬は2 つのシマが一体化して作りだされた政治都市であり，明治以降，寄留商人が貨幣経済を導入し，日本復帰後，大島紬業によって経済的基盤を確立した。その結果，群島全域から人口が集中し，旺盛で多様な消費がみられたが，大島紬業の衰退にともない，都市空間の萎縮が認められた。それぞれの景観レイヤーは相互に関係性を持ち合い，別の景観レイヤーによる意味の読み替えもみられた。景観レイヤーの手法はあらゆる地域の景観に適用可能である。